ドロップアウト産婦人科医の生活

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説明と同意

2日間マスクをやめたら、肌荒れはすっかり治りました。
いいんだか、悪いんだか。


最近、毎日のように外来で、妊婦さんから
「新型インフルエンザのワクチン、妊婦は優先して打てるんですよね?」
と詰め寄られます。

お気持ちは分ります。
お腹に赤ちゃんを抱えるお母さんたちも必死です。

てか、まだ私も打ってません。
「いつ打てるのか、ここの病院ではまだ聞いていません。」と答えます。

そして、大抵次いでくる質問は、
「ワクチン打っても、お腹の赤ちゃんには影響ないですよね?」

ぜ、絶対安全とは言えませんが・・・。
重症化を防ぐために、打った方がよいとは言われていますね。


ちょっと話はズレますが、最近、よく思います。
医療の現場で、「大丈夫です。」という、安心を与える言葉が出てきにくいご時世です。

患者さんたちは、多かれ少なかれ、安心したいために病院に来ます。
ちょっとお腹が痛いって診察にきて、「異常ないですよ。」って言うと、不思議と、次に来たときは、
「なおりました。」って人も結構多いです。

薬の説明から始まって、小さな処置、手術や検査の説明、「たぶん大丈夫だろうな。」と思う人にも

医療に絶対はありません。
こんな合併症がおこるかもしれない。
こんな病気も潜んでるかもしれない。
こんな症状になったら、入院して手術かも。

「たぶん大丈夫」って言葉よりも、怖い言葉の方が印象に残って、かえって混乱したり、不安になったりしちゃうんだろうな。説明の仕方ひとつなのかもしれないですが。

医療行為するには、可能性が低くても、起こり得る状況を説明して、同意してもらう。
「そんなこと聞いてない。」「事前に聞いてたら、やらなかった。」とか、後から言われたくないから。
病院側も保身のために、昔の何倍も、説明の時間を費やし、同意書だの何のって、書類がいっぱいです。もちろん、そんな悠長なこといっていられない緊急な状況もありますが。

なんだか、お互いの目的や真意がズレてるようで、なんとも言えない感じです。

ま、こんなこと考えても仕方がないので、日々淡々と業務をこなします。
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Commented by 寧夢 at 2009-10-21 10:24 x
妊娠2ヶ月ぐらいの時、インフルエンザに。内科に行くと、「君の体は今は診られない。産婦人科の先生の指示を仰ぎなさい」と。39度熱発・・・。
よろよろしながら隣の駅の産婦人科へ。薬を飲んでも大丈夫かどうか訊くと、「お母さんの体力がなくなった時点で赤ちゃんにも栄養が行かなくなるんから、母体優先で回復させます。早く服薬して治しましょう」もうこうなったら、信頼して服薬するしか無い。もちろん、ちゃんと治って、ベビーも元気でしたけれど、その時は不安で不安で。

・・・・の影響と言い出したら、きりがない。でも、タバコも吸わず、お酒も飲まず、変なサプリメントも取らずに来たので、大丈夫と自分に言い聞かせて妊娠期間過ごしました。

「絶対大丈夫」を御医者さんに期待するのは、何かあった時に自分に原因を求めたくないための避難経路でもあります。でも、それが普通の人間の思考回路であって、運の悪さや致し方の無い事態を受け入れる強さを自分に求めるしんどさからは逃げたいのが一般人なんだなと、つくづく考えさせられます。最後は、自分の健康状態を自分に引き受ける強さが必要になってくるのかも。
Commented by kurukuruX at 2009-10-24 14:02
>寧夢さん
妊娠してるっていうと、内科ではよく敬遠されちゃいますもんね。
究極の状況下では、胎児よりも母体を優先させるのは、産科のスタンダードですが、お母さんにしてみれば、自分と同じように、いやそれ以上に赤ちゃんも大切なわけで。
薬も大体は大丈夫なんですが、でも太鼓判は押せないところの説明がいつも悩ましいところです。
コメントいつもありがとうございます。
by kurukuruX | 2009-10-20 19:18 | 仕事 | Comments(2)

只今、二度目のドロップアウト中。


by kurukuruX