ドロップアウト産婦人科医の生活

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母は強し

最近、久々に大変な帝王切開に当たりました。

もはや疲労コンパイですが、お母さんも赤ちゃんも元気にしているので、まだ救われます。

そもそも妊婦さんは、通常の人間の体の仕組みと比べ、出血やストレスなど出産に耐え得るだけの体に自然と準備されています。

ある程度の出血にも耐えられ、傷も治りやすかったり。

今回の人も、紀子さまと似たような症状で胎盤の位置が低く、帝王切開の際、胎盤が出た後、大量に出血しました。ある程度予想していましたが、結局1時間の間に4000ccも出血しました。

普段、人間の体に流れている血液の量は、大体4000~5000ccくらいなので、相当の量です。

もしこれが、おじいちゃんだったら、死んじゃうかもしれない量です。

上司や私も必死で出血を止め、研修医くんは真っ青になりつつも、吸引を頑張ってくれました。

そしてこの妊婦さんは、術中ヘロヘロになりながらも、シャビシャビ点滴と少しの自己血のみで耐え抜きました。ほとんど奇跡!

体を張って、子供を守ろうとするお母さんの体の、生物学的、本能的、精神的なスゴさを改めて実感しました。産婦人科は、日々、こういったお母さんが本来持つ生命力に、大いに助けられています。


そういえば、少し前に、不幸な飲酒運転の事故で、車ごと沈んだ子供を助けようと、何度も水の中に潜ったお母さんのニュースもありました。

すごいな、お母さんっちゅーのは。


そして、そんな愛情に守られて、この世に生まれた赤ちゃん。

そんな特殊な出来事に携わるこの仕事。

病気を治すという、医師本来の仕事とは少し異質な世界だけど、
「何だかすげーな!」
漠然と感じる今日この頃です。
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Commented by redsunflower at 2006-09-21 21:54 x
お疲れ様でした.読んでいても緊張感が伝わってくるような大出産(!)ですね.母体とも元気で何より..帝王切開はドクターなしではありえないのですから,「医師本来の仕事」だと私は思いますよ.2つの命を救っておられるのですから.
それにしても,母は強しですね.そう言えば,思い出しました.その昔,金属バットで子供が親を殺してしまったという事件が報じられた時,私の母の一言「自分の子供に殺されたら親は本望よ」.「...」返す言葉もなかった私...母親とは肉体的にも,精神的にもすごい存在ですね.
Commented by love31happy at 2006-09-21 22:38
出血4000cc…。
ホント、生命の神秘ですね。

私の出産は、難産(初産)でした。母は意識がうすれながらも、頑張って私を産みました。私は、仮死状態?で産声をあげる事が出来ませんでした。産婆さんが私の背中をバシバシ叩いてくれたお陰で、やっと「おんぎゃー!!」と弱々しく泣いたそうです。

その後は、病棟一ウルサイ赤ちゃんだったそうです。悪運が強いのは、その頃からか…(爆)。
Commented by pokopen-7 at 2006-09-21 23:20
帝王切開の妊婦さんも赤ちゃんも元気でよかったですね。
産婦人科って、ホントすごい仕事だと思いますよ!尊敬します。

私のママからお産が重くて大変だったと聞いています。
元気に産んでくれたことを感謝しつつ、生きていかないといけないな・・。
飲酒運転の事故に遭ったお母さんの救助活動には頭が下がります。
本当に母は強い!
Commented by murap3 at 2006-09-22 14:12
「ホントすげーな!」泣けた。
将来この子がグレたら、この話を読ませてあげてください。(笑
Commented by ひろセンセ at 2006-09-22 19:16 x
1時間で4000cc!!を自己血のみで??
まじ、すごいっす!!1時間に4000でたら、こっちの心臓が止まっちゃうよ!
Commented by kurukuruX at 2006-09-22 20:06
>redsunflower さん
ありがとうございます。「自分の子供に殺されたら親は本望」かぁー、何だか究極ですね。私はまだ子供はいませんが、自分も母親になったらこんな風に強くなれるのかなー。半信半疑です。

>さきさん
そんな誕生エピソードを聞くと、「さきさん、きっと将来大物ですよ!」と言いたくなります(笑)。お母さんも、さきさんには手がかかって余計カワイく思うでしょうねー♪

>pokoさん
自分が仕事にしてるから、すごいことなのかどうか、あまりピンとこないんですよねー。でもどんな偉い人も、どんな悪人も、みんな「お母さん」のお腹の中で育って、この世に生まれてきたんですもんね。当たり前なことだけど、深いです。
Commented by kurukuruX at 2006-09-22 20:16
>ぷじおさん
あら、やだ、泣いちゃいました?笑
ほんとですね、グレちゃったら、このお母さんの健闘ぶりをぜひお話したいと思います。

>ひろセンセ
正確には羊水が少し(数百cc)含まれていますが。でもこんなこと、そうそうあるわけじゃないですよ。「スゲーな!」とこっちも感心したくらいです。

Commented by Dr. I at 2006-09-22 22:37 x
母は強し、ですね。
男なら、絶対に耐えられないでしょうねー。
Commented by もも at 2006-09-23 02:21 x
本当に母親の愛って偉大ですよね!!
私も、いつかそんな愛情を我が子に捧げる日が来るのかしら?
・・・おっと、その前に結婚だ(^^;)
Commented by hirata at 2006-09-23 15:26 x
 ふ~っ、出血量4000ですか。分娩前に自己血を貯血しておくことはないでしょうから、きっと術中にリザーバーから回収できた分を戻しただけなのでしょうね。男性だったら緊急に輸血しない限り助からないでしょう。う~む、母親というのは偉大な生命体だな。
Commented by 佐藤 麗司朗 at 2006-09-23 19:44 x
果たして自分に子供ができたとして、僕は出産に立ち会う
勇気があるかなぁ?(^▽^;
こうゆう話を読むだけ、聞くだけで、足の血管あたりが浮く感じがするのは僕だけでしょうか・・。
血液ドクドクなんですよね。。
それだけでも正直すごいですょ。
生命力を毎日感じられる仕事。
それに喜びを見出せるなんて素晴らしいじゃないですか(^▽^)
都心部では産婦人科が激減してレディースクリニック?に特化している
所が増えていると聞きました。
kurukuruXさんも東京進出して独立!してみては?!
微力ながら応援しますよ?
Commented by at 2006-09-23 21:48 x
お疲れさまです。4000の出血・・・母親の生命力強いも、先生あってこそですね。私も胎盤のおかげで1600出血、母子共に元気で、先生に感謝です。
Commented by omusubi at 2006-09-23 22:03 x
おかあさんもすごい!
そして、先生たちもほんとうにがんばりましたね!!
母子ともに元気な姿を見れば、疲れもとんでしまうでしょう。
感動ですね!
Commented by ぽん at 2006-09-24 07:39 x
先生、お疲れ様でした。よかったですー。母子無事で何より。
「お腹を痛めた子」とよく言うけれど、
私は出産(その後一月くらいはあっちもこっちも痛いものですよね。)よりも
育児のほうが辛くて、自分の子が「いや」になる瞬間もありました。
でも、不思議です・・・。
「子供のストレートさが苦手」だったけれど、
2人の子供を産んで育てていると、他の子も可愛いものです。
結局産科はやめちゃいました。今は老人ホームへ転職・・・
医業はまさにゆりかごから看取りまで・・・。
素晴らしい仕事であり、それに見合う人間に成長したいと思う日々です。
(・・・なんて、思うけれど、実際は子供に八つ当たりする酷い母^^;)

Commented by kurukuruX at 2006-09-24 12:34
>Dr.Iさん
お母さんの底力は医学の世界を超えていますね。きっと他の科では考えられないことがいっぱいありそうですね。まさに神秘の世界・・・。

>ももさん
そう、そうですよ、ももさん!
私達もぜひその偉大な強さを手に入れましょう!
がんばれ!わたしたち!!(笑)

>hirata さん
あれ?自己血、事前に採っての計画予定帝王切開でしたが・・・。ま、お気楽ブログとして、ここでは医学的な論議は省略させていただきますが、どうかお許しください。

Commented by kurukuruX at 2006-09-24 12:47
>麗司朗さん
ごめんなさいね、コワい話で。
立会い出産かー。分娩室での本番を立ち会うかどうかはそれぞれの考え次第でいいと思いますが、陣痛室で何時間も苦しんでいる奥さんを励ますところでは是非旦那さんも一緒に、とは個人的に思います。
東京進出のお誘い、どうも♪魅惑の東京ライフ・・・いいなぁ~、しばらく妄想してます(笑)。

>t さん
t さんも無事に済んでよかったですね。出産って過程もさることながら、お母さん、赤ちゃんが無事でいること、これがすべてのような気がします。将来ぜひお子さんに話してあげてください。コメントありがとうございました。
Commented by kurukuruX at 2006-09-24 13:01
>omusubiさん
労いのお言葉、ありがとうございます。母子共に元気な姿・・・、そういえば、授乳の合間、病室の一つのベッドの上でスヤスヤお昼寝している2人の姿はとてもいい絵です。

>ぽんさん
確かに出産は一時的な出来事ですが、育児となれば24時間365日、想像するだけで大変そうです。できるかなー、自分・・・。ぽんさんも家庭、仕事、そして自分、みんな大事に頑張ってくださいね。
Commented by 妻@Dr.mameta at 2006-09-26 15:10 x
はじめまして。ダンナのリンクから時々見させて頂いています。私も8月10日に二度目の帝王切開を終えたばかりです。

前置胎盤での大量出血って、先日お母さんが亡くなって産婦人科医が有罪判決を受けたものでしょうか?出産って、医療がどんなに進歩しても神様に委ねられている部分も大きいのでしょうね。お母さんの強さも赤ちゃんの生命力も、本当に神秘だと思います。

ちなみに今回の帝王切開は、何度も何度も先生が「う~ん、おかしいな。おかしいな。。何で??」と看護婦さんに言うのが聞こえて、「おいっ!一体何がおかしいんだっ!!」と叫びたい気持ちでイッパイでした(笑)。
無事生まれて、良かったです。

Commented by kurukuruX at 2006-09-27 22:31
>マメタせんせいの奥サマ
はじめまして、はじめまして、奥サマ!コメント頂き、感動です。奥サマも赤ちゃんも無事に済んで本当に良かったですね、お疲れさまでした。でも一体何がおかしかったんでしょうね?気になりますねぇ~。あ、いや、もう忘れちゃった方がいいかも(笑)。それにしてもいいご主人でうらやましいです。温かいマメタ一家、家事子育てお仕事、頑張ってくださいね。応援しております。
Commented by hirata at 2006-09-28 00:56 x
 すみません、緊急と勘違いしてました。最近の現場はよく知りませんが、予定手術ならばEPOを使って事前に800ml自己血貯血をしていたのでしょうね。これ以上は術式的なコメントはなしで。
Commented by drnobusaku at 2006-09-28 11:01 x
kurukuruXさん お疲れ様でした。4000はキテますね!自己血とっておいてよかったですね。hirataさんのコメントのように、エスポーうって取れば妊娠中でも自己血取れるんですね。知りませんでした。

お互い希少価値?のギネ医として頑張りましょう。
Commented by kurukuruX at 2006-09-29 19:27
>hirataさん
いいえ、いいえ、こちらこそ説明不足ですみませんでした。
紀子サマの件も同時期にあったこともあって、患者さんからの貯血の希望も強くあっての、そしてお母さんの生命力に助けられた一件でした。

>drnobusakuさん
うちでは妊婦さんということもあって、エスポーは投与せず、無理せず、余裕もっての自己血貯血でした。
今自分を支えているのは、ほんと「希少価値のギネ医」コレに尽きます。センセイもどうかご自愛しながらお仕事頑張ってください。


by kurukuruX | 2006-09-21 20:45 | 仕事 | Comments(22)

只今、二度目のドロップアウト中。


by kurukuruX