ドロップアウト産婦人科医の生活

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再開してみます

おひさしぶりです。

一旦はやめようと思ったブログですが、何だか削除できないまま、2年近く経ち、最近また書きたくなってしまいました。

今までいろいろありました。


実は、お母さんは再発しました。

ブログをやめた後、しばらくの頃です。

あれから、私は常勤に戻り、自分の病院で、お母さんの治療を主治医として診ることにしました。

最初は症状もなく、腫瘍マーカー上昇だけの再発所見で始めた化学療法でした。

検査のわずかな異常にも神経質になってる私とは対照的に、当時のお母さんは、

「何にも症状ないのに、どうしてまた抗がん剤やらなくちゃいけないの?」

と不服そうでした。あんなに辛かった抗がん剤だったからね、そりゃそうだよね。

自分が今まで得た経験や知識や人脈を駆使し、様々な先生からもいろんなアドバイスをもらいながら治療にあたりました。

いつもよく使う馴染みの薬でも、いざ自分の母親に使うと思うと怖気づきました。

使ったことのない薬や認可されていないものは尚更です。怖くて断念した薬も幾つかあります。

でも自分ながら、よくやったと思っています。

お母さんを説得し、薬の効果に一喜一憂し、祈るような思いで、今まで1年半にわたり、様々な薬を試してきました。

パクリタキセル
カルボプラチン
イリノテカン
シスプラチン
ジェムシタビン
ドセタキセル

肝臓転移には、ラジオ波焼灼術も2回やりました。

でも再発した癌の勢いは止まりません。

「いつまでやるの?」「これやったら終わり?」

お母さんは、よく私に聞くんだけど、ごめんね、ちゃんと返事できなくて。

人間、どんなに辛く苦しい治療でも、治る見込みがあるから頑張れるんです。

先の見えない治療をまた繰り返す日々。自分だったら頑張れるだろうか。

ほんとよく頑張ってるよ、お母さん。

最近ちょっと元気がないなぁって気になってたある朝、荒い呼吸をしながら

「体がだるくて起きられない」

ってお母さん。

触ってみると、手足が氷のように冷たくなっていました。

家庭用血圧測定も、「測定不能」になっちゃうし、慌てて入院させてみたら、心タンポナーデになっていました。

癌性心膜炎になっていました。

私は初めて遭遇した、思いもかけない急激な再発症状に驚き、そしてそこまで進んでしまった現実に打ちひしがれました。

でも、循環器や外科の先生達に助けてもらって、退院するまでに回復し、今は家で静かに過ごしています。

そしてもうこれ以上の抗がん剤はやめることにしました。

ICUで、酸素マスク越しに「このまま死んじゃうの?」とお母さんに聞かれた時、
私は、もっと早く抗がん剤やめておけばよかったと後悔しました。

そして、泣いて言葉が出ない私を見て、

「自分を責めちゃいけないよ。」とも。

「こんなに沢山治療やったんだから悔いはない。」って。

心嚢水や胸水も抜けて、体も次第に楽になり、家に帰ることもできて、例えこれが一時的でも、本当によかった。

私が「もう抗がん剤はやらないから」って言ったら、お母さんはそれはそれは嬉しそうでした。

退院の目途が立つと、お母さんは、家に帰ってからのやることリストを書き出していました。

友達とお茶したり、お見舞いのお返しを送ったり、定期預金を下ろしてきたり。

気付くと、鬱はすっかりなくなったようで、いつもの抗鬱剤も、いいのか悪いのか、袋の中にしまわれていました。

ちょっと長く歩いたり、喋ったりすると息が上がってきますが、今は早起きして時々ご飯も作っています。

主婦の仕事ができることがとても嬉しそうです。

これからは、お母さんらしく、好きなように過ごしてね。

私もつい不満ばかりの日々だったけど、もう一度、一分一秒を大切に、今を感謝していけるようにしていきたいです。

そんな気持ちでまた始めてみます。


神様、お母さんをどうかどうかお守りください。
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Commented by 寧夢 at 2008-06-06 16:59 x
お帰りなさい、先生。
ちょっとずつ認知症が進んでいく母と同居、自分が入院して落ち込んでしまったり。時々先生が残していてくれた、バースデーケーキのろうそくの暖かい光を見つめて、自分の心に言い聞かせてきました。「お母さんありがとう」面と向かってなかなか言えないし、伝えてもどれくらいわかってくれているのかなと思うときはあるけれど。

お帰りなさい、先生。
私もブログを始めて8月が来ると2年になります。
Commented by Dr.OBS at 2008-06-06 22:19 x
先生、お久しぶりです。離島医のdrobsです。
最近、山田豊文の本、「病気がイヤなら、「油」を変えなさい!」を中国語版に監修して、間も無く台湾で出版させてみようと思います。
その内容を読むと、実に恥ずかしいと思いつつ、今さら医師としている自分自身が、必須脂肪酸オメガ3の重要性を改めに見直し、毎日フラックス・オイルを15cc飲むことにします。
何故かと言うと、二年前、肝癌で手術を受けた父に再発され、間も無く入院で、焼灼術を受けるとおりですが、ゲルソン療法も紹介したいからです。
「末期がん患者の5割が完治したそうだ。」と父に読み伝えて、少なくとも希望を与えようにしますから…
「亜麻仁油から抗がん成分のリグナンが出来ますように」、神様へお祈り致します。
先生も一度お読みになりませんか。
Commented by kurukuruX at 2008-06-10 21:38
>寧夢さん
お久しぶりです。時々ブログ覗かせてもらっていました。
あっという間の2年、早いですね。自分は何も変わっていない気がしています。何でもそうですが、続けることってすごいことだと思います。
またよろしくどうぞ。

>文斌センセイ
コメントありがとうございます。
私も今回、今まで目もくれなかった、免疫、漢方、色々な代替療法に妙味を持つようになりました。身内が関わるとこうも変わるもんですね。
先生のお父様もどうぞお大事にしてください。
by kurukuruX | 2008-06-06 00:32 | おかあさん | Comments(3)

只今、二度目のドロップアウト中。


by kurukuruX