ドロップアウト産婦人科医の生活

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カテゴリ:おかあさん( 39 )

天国で食べる?

おかあさん、誕生日おめでとう。

去年までは、お母さんのお気に入りのケーキ屋さんで、毎年バースデーケーキを注文していたので、そのお店のスタンプカードには、9月8日の日付ばかりで、何回もスタンプが押されていました。

それも、ついにこの間、いっぱいになって、割引券がもらえたよ。

おいしかったよねー、あそこのケーキ

今日はどうしよっかなぁ・・・。
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by kurukuruX | 2008-09-08 16:42 | おかあさん | Comments(4)

30年のホコリ

先日、お母さんの嫁入り道具である、大きな洋服タンスを移動しました。

お仏壇を入れるためです。

洋服タンスはとても立派なもので、しかも、今まで一回も動かしたことがないみたいでした。

お母さんがお嫁にいくにあたり、おばあちゃんが用意したと思われる着物なんかがドッサリしまってありました。

おばあちゃん、当時、相当フンパツしたんだろうなぁ・・・。

私の小学校の入学式の時に、お母さんが着ていた、見覚えのある着物もありました。


そして、タンスの後ろには、30年余り、一度も掃除をされていないと思われる空間に、私は足を踏み入れました。

真っ黒な、重みのあるホコリ?じゅうたん?が立派に積もっていました。


お父さんとお母さんが結婚して、子供が生まれて、大きくなるまでの年月が、そこに蓄積されているんだと思うと、掃除するのがもったいなくて、しばらくマスクしたまま、物思いに耽ってしまいました。

このホコリ達も、いろんな場面をみてきたんだよね。

雑巾で勢いよく拭き取ると、変色する前の真新しい木の床が現れました。


もうすぐ四十九日。

時間が経つのが、早いのか、遅いのか。

いまだに実感がわかない。

お母さんがいないことを実感するのは、いったいどんな時なんだろう。
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by kurukuruX | 2008-09-04 23:40 | おかあさん | Comments(2)

夜はだんだん涼しくなってきました。

お腹が冷えたせいなのか、昨晩はとても怖い夢を見ました。


お母さんが謎の刃物集団に狙われているんです。

一度やられちゃって、でもお母さんは奇跡的に生き返りました。

その後もその集団から守ろうと、家族全員でお母さんを抱え、必死で逃げるんです。

でもすごくしつこくて、家の周りを囲まれて、今にも侵入してくる勢いで、110番しても間に合わず、どんどん家が壊されていくところで、目が覚めました。


こ、怖かった・・・。(汗)

でも、夢の中でお母さんに会えた。

夢って不思議。まるで現実のようだった。

目が覚めたら消えてなくなるような夢じゃなくて、ちゃんとしっかり覚えてた。

忘れたくないから、ここに書いておこーっと。
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by kurukuruX | 2008-08-21 21:31 | おかあさん | Comments(4)

童謡 「おかあさん」

おかあさん

なあに

おかあさんて いいにおい

せんたくしていた においでしょ

しゃぼんのあわの においでしょ


おかあさん

なあに

おかあさんて いいにおい

おりょうりしていた においでしょ

たまごやきの においでしょ





かすかに覚えてて、最初のフレーズだけ、最近までよく歌ってました。

うちのお母さんのにおいは、洗濯でも卵焼きの匂いでもなくて、加齢臭?が少し混じったような、お布団のような、いい匂いでした。


お母さんのにおい、忘れたくないなー。
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by kurukuruX | 2008-08-14 19:41 | おかあさん | Comments(0)

おかあさん、ありがとう

お母さんは、とうとう天国へ行ってしまいました。

予想よりちょっと早かったけど、とても穏やかな最後でした。

お母さんが望むような最後でよかったね。一番心配してたもんね。


今まで散々恐がっていたお母さんの死は、こんなのもの?ってくらい、あっけなかった。


私が毎朝、「母ちゃん!おはよう。眠れた?」って病室に入ると、

「よく寝れたよ。」ってニッコリ返してくれた。

一日の終わりには、「ありがとう。ありがとうね。」

何度も言って、手を振って見送ってくれた母ちゃん。

「こんなに良くしてもらって、悪いねぇ。」っていつも言ってた。

最後は、過去にさかのぼってるのか、いろんなうわ言を言っていたよ。


おかあさん、楽になったんだよね。


もう、治療の心配をすることもなくなったし、ざるそば作って持って行くことも、美味しいお茶を沸かして持って行くことも、看護師さんにはナイショでしてた浣腸の世話も、もうしなくていいんだ。


当然のことながら、お母さんがいた病室は空っぽです。

こっそり入ってみて、今までの映像を何とか思い出してみる。

ほんとにお母さんは、もういないんだろうか。


お母さんがいなくなったことを寂しくと思うと涙が出るけど、ベストを尽くしたと思うと、不思議と悲しさが少し救われる気がします。

とらえ方一つでこんなに違うもんなんだ。


遺影のお母さんの顔は、いつもの変わらない、可愛らしいお母さんです。

今まで相当辛かったろう、たくさんの治療を、家族のために、がんばって受けてくれて、ありがとうね、お母さん。

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by kurukuruX | 2008-08-05 19:00 | おかあさん | Comments(10)

つらい夢なの?

お母さんは一日のほとんど、夢の中のようです。

終末期に、薬を使わずとも眠れるのは幸いです。

時々、イヤな夢をみているのか、顔をしかめたり、うなされているのを見て、

「大丈夫だよ、お母さん。うまくいってるから。」

と声をかけると、かすかに、「うん。」

と返事をしてくれて、またスヤスヤ眠りに落ちていきます。

痛みの訴えもなく、恐れていたイレウスにもならず、穏やかな日々でしたが、少しずつ弱っています。

今日は遂に、病院の食事をストップしてもらうことにしました。


誰にでもいつか必ず死が訪れる。

人間の生き死にに関わり、頭では分かっているつもりなのに、でもどうしても、お母さんがいなくなってしまうことが受け入れられない。

苦しませたくないし、辛い思いは少しでもさせたくない。

でもやっぱり、一日でも長く生きていてほしいと思ってしまう。

別れは一分でも先であってほしい。


ナースステーションで、主治医の先生とケアの相談をしていると、つい涙がこぼれてしまいます。

勤務先での介護のメリットは、前にも書いたけど、反対に、思いっきり泣けないことはデメリットだなーと感じるこの頃です。
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by kurukuruX | 2008-07-23 22:45 | おかあさん | Comments(3)

代替医療

何年か前までは、興味も示さなかった分野です。

様々なものがありますが、がん患者の弱みに付け込んだ、むやみに高額な健康食品、器具、などなど・・・。

そんなマイナスなイメージを持っていた私だったので、身内が、怪しげな雑誌やネットから

お母さんにと勧める様々な商品も、私だけはずっと否定的でした。

そんなに効果があるなら、とっくに医療用として認定されてもいいはずだと。

でも、そんな考えも最近、変化しました。

「藁をもすがる気持ち」 それもあると思います。

漢方薬
天仙液
玄米食
クレスチン
バイオラバー
岩盤浴
サメ軟骨
カテキン
イミュトール

病気になってから、試してみたものです。

挫折したものもアリ、そして効果があったかも、ナゾです。

「患者本人が治ると信じて、続ける。」

こうゆうことが大切なのかもしれません。


ある患者さんが、何十万円もする、ある免疫療法について、主治医の先生に相談したところ、

「そんなものにお金をかけるなら、好きなもの買ったり、旅行三昧するわ。」

とバッサリ言われたそうな。

以前の私だったら、同じような反応をしたかもしれません。

でも今は、「やっぱり命には代えられない」という、切羽詰った状況が分かる分、

これからは、そういった患者さんへの返答は、たぶん違ったものになるだろうなと思います。
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by kurukuruX | 2008-07-07 19:39 | おかあさん | Comments(2)

病院食

病院食は必ずしも、美味しいものではありません。

甘いお味噌汁、味のない野菜、あまりにもしょっぱいおかずを前にして、

「本当にこれが体にいいんだろうか。」

実際思うことも時々あります。

りんごも、「ウサギちゃん」にして!
とはいいませんが、もうちょっと箸がすすむような盛り付け方とか・・・。

ま、病院はご飯を美味しく食べるところではなく、病気を治すところ。

これも仕方がないです。

でも、入院患者さんにとって、唯一の楽しみ、それは間違いなく、食事のはず!


ということで、今日は仕事も休みだったので、お母さんに、ざるそばと生野菜サラダを作って持って行きました。

お母さんは、久しぶりだと喜んで、病室でズルズルっと食べてくれました。

今日も暑いなぁ。

梅雨は明けたのかなー。
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by kurukuruX | 2008-07-05 15:58 | おかあさん | Comments(2)

キュウちゃん 2008

お母さんも収穫を楽しみにしていた、キュウリがようやく大きくなってきました。

今年の第1号採れたてきゅうちゃんを早速、病室に持ってきました。

「どうやって食べたい?」と聞くと、

「半分に割って、味噌を塗って、カブりつきたい。」と、お母さん。

表面のイボイボは鋭くチクチクしていて、半分に割ると、水分がジュワーっと出てきます。

あまり食欲もなかったお母さんだったけど、「うまい、うまい」と、1本ペロリと平らげました。

雨が降って、これからどんどん収穫できるからね。
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by kurukuruX | 2008-06-19 19:58 | おかあさん | Comments(0)

医者の中の医者

お母さんは今、他の先生に診てもらっています。

ICUでの入院の途中から、私はお母さんの主治医をやめました。

少しお休みして出てきた精神的余裕や最後までお母さんの希望通りにベストが尽くせる自信もあるつもりだったけど、いろいろ悩んだ挙句、やっぱり代わってもらうことにしました。

バトンタッチした瞬間、「もう自分でいろいろ決めなくてもいいんだ。」

プレッシャーから解放されたせいか、スーッと気が楽になりました。

その先生は、手術も上手くて、話し方も指示も手技もエレガントで、緩和医療にも熱心で、
医師としてお手本のような先生です。


自分の身内を任せられる先生。


それこそが正に、究極の信頼がおける医者なのかもしれません。

そんな先生が身近にいてくれて、本当によかったなぁと思います。


そして、お母さんは

「くれぐれも延命治療はしないで下さい。」

落ち着いて先生に話していました。


ところで、自分が働く病院に入院しているので、毎日、仕事の合間に病室へ覗きに行けます。

一般的には、家族が病気になった時、付き添いのために、仕事を休んだりして苦労するのが普通ですが、私の場合、仕事をしながら傍にいることができる。

今こうしてみると、最初の病院選びから、自分の仕事との兼ね合い、お母さんの治療へと、
今まで悩みながらも選んできた道がどれも間違いではなかったんだとしみじみ思えます。

一日のうち何回も、私がお母さんの顔をのぞきにくることを、お母さんはとても安心だと言ってくれました。

そんな言葉が聞けただけでも、私はとても報われた気持ちでいっぱいになれるのです。
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by kurukuruX | 2008-06-17 23:56 | おかあさん | Comments(2)

只今、二度目のドロップアウト中。


by kurukuruX