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ドロップアウト産婦人科医の生活

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負け医者の遠吠え

私は現在、ドロップアウトしているお陰で、24時間勤務の後は朝帰りしています。

本来の労働基準からすれば、当然、解放されることを要求してもいいところ、日本のお医者さん達は当然のように、ぶっ続けで働いています。

平和な生活のお陰で、最近は滅多にイライラしなくなったんですが、
この間、久々に怒りを覚えたことがありました。

私は主に、夜と土日に病院に生息していますが、ある時、他科のある部長に言われました。
「先生はこれから帰って何するの?」

「えーっと、忙しくしていますよ。スーパー行ったり、ご飯作ったり、洗濯したり・・・(ここからは心の声)あとは畑の野菜の手入れしたり、お昼寝したり、お母さんと散歩したり、ギター弾いたり、バスケの練習行ったり。」

「なんだ、それだけかー。」

そ、そ、そ、それだけって?

家事だって立派な仕事じゃん。
先生の奥さんが毎日家事やってるから、先生がちゃんと仕事できてるんでしょー!
医者の仕事だけが特別偉いんじゃないっつーの!

私の母の日のプレゼントは、「ゲーセンでお母さんと卓球をして楽しく過ごした」ですよ!
そんなプレゼント、先生したことないでしょー!!

・・・これは遠吠えレベル。

そしてさらに彼は

「産直って言っても、正常分娩なんて医者は大してやることないんでしょ?何やってんの?」

ぬぉぉぉー!

とても医療関係者の発言とは思えないこの理解ぶり。しかもこのご時世に。
まあ、同業者でなければ分からないのかもしれません。

確かに、正常分娩では、裂傷縫合くらいしか出番はありません。
万が一に備えて、のために立ち会うわけです。
その万が一は、一分一秒を争う、もし悪い結果になれば、母子共に命に関わる、赤ちゃんがもし仮死状態だったらその子の一生に関わる問題です。
そんな確率はもちろん低いし、逆にそんな万が一のためだけに呼ばれて、しかも、たまに、縫合の出番さえもなくて、それはそれでいいことなんだけど、「私は一体何しに来たんだろう」なんてつぶやいちゃったりすることもあるわけで、まだ帝王切開でもして帰ったほうが、おー仕事したなぁー、と呼ばれた甲斐もあるってもんです。
そういう地味な夜の業務を、いかにモチベーションを維持しながらやれるかです。

先生自身や、先生のお子さんが無事にこの世に生まれてこれたのだって、少しは産婦人科医の、そんな努力の賜物だって考えてはくれないんですか?

その先生は、頭がよくて物知りで、いつも専門用語を並べ立てて、言葉巧みで、いかにもできる医者って感じで、私なんて足元にも及びません。

こんな時に言われっぱなしじゃなく、スマートに切り返し、ぎゃふんと言わせる話術があれば・・・。

くぅーーー、口下手な私、くやしい。
by kurukuruX | 2006-05-16 22:31 | 仕事

只今、二度目のドロップアウト中。


by kurukuruX